3歳児以下の子供の受験準備とは?

我が子の誕生・・・嬉しいですね。そして、何とかこの子が豊かな人生を送れるように!と願い、教育に大きな関心と期待を寄せるお父様、お母様は少なくありません。
「我が子により良い教育環境を求めて、幼稚園受験や小学校受験をさせることを考えたい・・・」と思い立たれ、少しでも早くから準備をしたい!と思われたなら・・・勇み足で、間違った家庭教育をしてはいけません。
詳しくは、是非、「0歳からの小学校受験」のサイトをご覧くださいね。
ここでは、別の視野から、0歳からできること、ご両親が理解していなければならないことをお話します。

受験のための準備は、どのくらいの期間するのがベストでしょうか?」
私はよく、こういうご質問を受けます。しかし、残念ながら、この質問に対する的確な答えはありません。
子供の力、つまり、知育的な能力という意味だけではなく、言語面での理解力や表現力、物事に向かう時の姿勢や根気などには個人差があります。
また、どれだけの期間をかけて準備すれば、受験のために必要な量、必要なノルマを達成することができるのか?と問われても、肝心のその「必要な量」そのものが不確かだからです。
実際、学校によって考査の内容は違います。知育的な能力を必要とするペーパーテストを中心に考査をする学校もあれば、全くペーパーテストは行わず、親子面接と行動観察というテストだけ、という学校もありますから、「その学校では、子供に、家庭に、何を求めているか?」ということが大きく違っている、ということです。そういう状況下では、期間などは絶対に決められない、ですね。
人によっては、「早ければ早いほうが良い」とお答えになる場合もあるでしょう。しかし、「早い」と言っても限度があり、1歳児に対して「受験のために」という注釈つきでは、いったい何をさせれば良いのでしょうか?(受験のために、ではなく、その子の成長のために、ということであれば、6ヶ月児に対してでも、有意義な遊びはたくさんあります)

となれば・・・
さきほどの質問の答えは、ご両親が我が子のために「始めたい!と思った時期から始める」というのが、一番近いお答えかもしれません。そして、それに加えて、「準備の方法は、ご両親の望まれるお好みの方法で」ということでしょう。

しかし、先ほども申し上げた通り、受験をする、しないに関係なく、どの子供にも必要な力、それは確かにあり、それはむしろ、「生きていくために有効な力」という言い方が最も適切でしょう。

その力・・・まず第一は、理解力、です。
じつは、今の子供達は、10年前の子供達と比べると「聞いて、理解する」という点において、残念ながら非常に劣っています。
時代は21世紀に入り、国際化の進む中で、英語の重要性は益々高まります。そんな中にあって、世の中のお父様、お母様は、われ先に「我が子に早期からの英語教育を!」と躍起になっている、というのが現状です。確かに、日本人の英会話能力の低さを考えれば、そういう思いは正しい、と言えるでしょう。しかし、それでもなお、今の子供達の言語力の低下を真剣に直視すれば、外国語学習よりもっともっと以前に、母国語である日本語をしっかり習得させることが先月だと思います。
話しを理解する、そのためには、言葉が理解できなければどうにもなりません。
いろいろな意味で便利な社会になり、子供達は「多くを話さなくても」何でも簡単に手に入るようになりました。
家庭では少子化が進み、兄弟、姉妹で話すという機会がなくなりました。兄弟ケンカをして、相手を言い負かすために、必死に言葉を駆使する、ということもない・・・困った時、自ら説明しなくても、目の行き届いた親が、さっさ事態を把握し、ちゃんと助けてくれる・・・
こういう状況下では、子供は一生懸命に言葉を操り、話す必要がありません。「使わないものが、退化していく」これは、自然の道理です。
しっかりと言語力をつけ、聞いて理解する力をつけることは、たぶん、みなさんが思っている以上に、とても重要で、とても現代の子供たちに欠けている力なのです。

二は、考える習慣、です。
今の子供達は、自分のわからないことが目の前に現れると、すぐに「どうしたらいいの?」「これわかんない!教えて!」というふうにたずねます。「なぜ?どうして?」という疑問は、新しい知識を得る源です。しかし、まずは、自分が持っている知識をもとに、知恵を絞って考える、という作業がなおざりにされているのです。すぐに答えを求める・・・これは、ある意味での他力本願なのですね。
何か、自分の知らないことに直面したり、知らないことを聞いた時には、まずは自分で「どうしたらいいのかな?どういうことが起きているのだろう?こうなったら、次はどうなるのだろう?」ということを、十分に考えなくてはなりません。
いませんか?すぐに質問するくせに、親が一生懸命に答えていると、途中からは興味を失って聞いていない、というような子供・・・その子は、結局は何も考えず、自力でしていることは、意味無く「どうして?」と聞くことだけ。これでは、のうなしこちゃんです。
「考える」ためには、自分の頭の中にプールされている知識や経験なども必要ですそのためには多くの経験は必要でしょう。そして、それらをそのつど必要なものを選別し、頭の中の引き出しから引っ張り出して、次はどうするべきか?などを考える・・・これが、理想の姿です。

この二つの力は、一朝一夕に育つものではありません。
本格的に受験準備を考え始めるであろう4歳児、5歳児になった時に、まだ何でも「パパ、どうしたらいいの?」「ママ、何を言っているのかわかんない!」状態では、本当は困るのです。
受験のときに困る?いえいえ、生きていく上で困る、のです。

まずは「聞く、そして理解する」「一生懸命に推理をしたり、洞察をしたりして考える」このような家庭生活の中で育っていくべきこれらのこと。しっかりと認識してください!
知育的な受験準備ばかりに目がいき、そういうことが準備なのだ、と誤解しているご家庭は多いものです。しかし、こういう知育的準備は、大変そうではありますが、実際には簡単なことです。なぜなら・・・やればよいだけ、ですからね。しかし、そういう知育的、ドリル的力ではなく、「人としての力」、点数に表せないような力を養うには、時間がかかりますし、子供と日々接している親の認識も必要です。

ドリルだ、ペーパーだと、子供が幼い頃から必死に机の前に座らせて、「お勉強」をさせるよりも、本格的にそういう学習をするようになる前に、たくさんの語彙を使って豊かに話せる言語力、幼いながらもTPOをわきまえられる道徳心、物事に感動する感性を養うことに目を向けて欲しい!私は切に願っています。

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